漢が「酒」と言えば、日本酒やビール、ウイスキー。最近の若い奴は、サワーやらカクテルやらナンパな物ばかり飲んだりしてるが、嫌だねえ、そういうのは。
酒の肴にしても、同じだ。タパスが何とかだ、いろいろ講釈を垂れてやがる。
俺の若い頃は塩だけだったよ、酒の当ては。それで、とにかく飲みまくったもんだ。
若いもんは、甘えてんなあって思う。
俺が、この店に来たら、つまみは、 漬け物盛り合わせ。さすがに塩だけって訳にはいかないからな。
皿に盛られた沢庵、浅漬け、福神漬けに茄子の漬け物。贅沢なもんだぜ。
見てみろよ、この彩りの綺麗さ。
酒飲む時には、これさえ、ありゃあ何にもいらねえんだよ。
この店の漬け物がまた美味い。沢庵はボリボリと豪快な音を立てて食える適度な硬さ。浅漬けも上手い事漬かっていて塩加減が最高だ。少し甘い福神漬けと茄子がまた良いんだよ。
昔の日本人てのは、すげえよなあ。漬け物てのは、野菜の保存のため先人たちが知恵を絞った結果だからな。
乳酸菌で発酵させる事で、酸味や味、香りを与え、腐敗や食中毒の原因になる他の微生物の繁殖を抑えて食品の長期保存を可能にしてるってんだから。よく考えたもんだぜ。
その上、同じ漬け物でも、これだけ種類がいろいろあるんだぜ。
今、俺たちがこんな美味い漬け物を食えている事に感謝感謝だな。
健康面でも優れ物らしいぜ。
最近、ヨーグルトやチーズなんて動物性乳酸菌より、漬け物の植物性乳酸菌の方が良いって事が分かってきたみたいだ。
動物性乳酸菌は胃酸で死んじまうが、植物性乳酸菌は酸に強く、生きたまま腸に届くんだってよ。免疫活性作用、発癌物質の排出・分解、便秘・下痢の解消なんて効果もあるそうだ。
西洋に日本の知恵が勝った、という事だな。
やっぱり、日本人なら黙って漬け物だぜ。